三日月家

心を込める事、そして忘れてはならない事

昭和の時代のお話です。
私の母は野菜や小麦を作っていた。自分で作った小麦を粉挽き屋さんに挽きに出し、粉になって返ってきた自分の小麦でパンやうどんそしてケーキを作っていた。
母の手からは魔法のようにいろんなものが作られました。その美味しくて温かい思い出は知らず知らずのうちに私の中に深く刻み込まれた。

長じて私は三人の子の母となった。子供や夫に添加物によって汚染されていない物を食べさせたかった私はいつしか母のようにパンを焼いていた。けれどもそれは母のパンとは違い天然酵母パンだった。

ある時、パン好きの知人にパンを差し上げた。次に会った時知人は「川上さんにもらったパンを一人暮らしの母の所に数個、置いて来た。母はガンの手術をした後で食欲がなく何も食べられなかったが、あのパンを食べた事で、食付いて元気が出て食べられるようになった。ありがとう。」と言って私を驚かせた。

「自分の作るものが人様のお役に立つ事がある」それは驚きとともに静かな喜びとなって私の中に浸透した。

パン屋になるつもりなどさらさらなかった。
家族の為だけのパンでよかったはずだった。

一年悩んで、私はパン屋になった。

子供達に自然な物を食べさせたくて焼き始めたパンだった。だから忘れないように自分に言い聞かせる。「我が子に食べさせたくないものを商品として作らない」材料選びで立ち止まった時は「私はこれを使ったパンを子供達にたべさせたいか?」と自問する。そして、「自信のないものは出さない」それは子供達が大きくなって手元に居なくなった今でも同じです。

当初は電話や電子メールによる受注注文と週2日の宅配販売のみの営業で宣伝広告はぜず、口コミのみで広がったお客様だけに販売を続けてきましたが、平成26年に店舗を開店。週1日土曜日だけオープンですが、天然酵母パンやワッフルとともに、パンランチも楽しんでいただけるお店になっています。

自家製フィリングで丁寧なパン作り。

パンに巻き込んでいる柚子や八朔の砂糖煮は、自家製で作っています。

パン及びランチに使用している野菜は可能な限り自家栽培による物です。